長編野球小説<がんばれ播但キャッツ> ④
2013年10月24日、木曜の夕刻。
7時過ぎ、研の携帯に俊平から着信、併せて返信を乞うメールも。
風呂上りの研は、俊平の携帯をコールした。
<すまんすまん、風呂はいってたんや。 メールて、なんや?>
<おう、研。おまえ薮井っちゅう高校生知ってるか? 左投げらしいけど。>
<ワシも薮井やけど、野球やる薮井なんて、日本中におるやろ。>
<夏に明石で変なオッサンいてたやんか、公園の入り口や、。>
<覚えてんでぇ。日焼けして真っ黒で、ガタイがすごかったなぁ>
<なぁ研、おまえ、きょう、ドラフトやってたん知ってたか?>
<来週ちがうんか?>
<研、播但のドラフト3位は薮井 研っちゅう、左投げらしいんやけど、。>
俊平の電話で混乱したが、それから2階の勉強部屋で
研がぼんやり考えたことはもう勉強せんでえぇんかなぁと言うことだった。
8時過ぎ階下で電話が鳴って妹の瑠美が取り次いだ。
<はい、はい、、。研はおりますが、、。はい、、>
廊下で受話器を握る父親の研作のこえが、不明瞭に伝わる。
<ねぇお兄ちゃん、>部屋に入ってきた瑠美が聞いてくる。
<お父さん誰と話をしてるか知ってる?>
<、、、、、、。>
<キャッツの編成部長って、だれ?。>
<、、、、、、。>
(あの話は、冗談じゃなかったんだ、。
でも、キャッツは打たへんからなぁ、。)
もう、入団した気になってるお調子者の高校生がそこに居た。